201109_sinruigafuti

真 累が淵 [DVD]
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制作年:2000年(日)
脚本:及川章太郎
監督:秋山豊
収録時間:90分

カテゴリ:ホラー

【キャスト】

  • 夏生ゆうな
  • 伊藤美紀
  • 近藤理枝
  • 山崎絵里

【総括】

最近になってレンタル開始され、気になっていた作品。定番作品がひと段落したので視聴。

ベースが怪談ということもあり、終始湿った重苦しい空気を纏っている。演出もいたずらに恐怖を煽るモノは無く、今時のホラーのノリを期待するとダメ。「ひゅうーどろどろどろ⇒うらめしやー」といった日本的でオーソドックスなホラーだと感じた。勿論グロもない。まあ個人的には好きな分野でもある。

【ストーリー】

死んだ先妻(の幽霊)が後妻を苦しめるといったお話。

主人公:依子(ヨリコ)は明彦と結婚する。明彦は先妻:祐子(ユウコ)に自殺され、祐子との間に女の子(幼稚園児):祐希(ユキ)を連れての再婚だ。依子は祐希の母親として打ち解けようと努力するが、祐希は死んだ実母(祐子)を想うばかりでなかなかなついてくれない。祐希の態度に依子は苛立ち、精神的に追い詰められてゆく。ある時依子は誤って花瓶を割ってしまった祐希に手をあげてしまう。その日以降、祐希に対する依子の体罰はエスカレートしてゆく。

※「続き」にネタばれ

【感想】

さすが怪談だけのことはありセオリーに沿った演出だ。
出てくるだけで黙して語らず。上目づかいにじっと相手を見つめるだけ。それだけなんだけど、こういう姿って脳裏に残るんだよなぁ。後から思いだしてゾッとするような感じでインプットされる。

ただ観ていて腑に落ちない点もあった。
なぜ祐子が依子の前に出てきたのか?
1つは実の娘の虐待を見かねて、といったところだろうが、正直なところ娘を残して自殺しておきながら、今更何で化けて出てくるのかが疑問。
もう1つは依子と明彦の不倫関係。これは観終わってから認識したのだが、レンタルサイトの紹介文には依子と明彦が不倫していたと書かれている。僕が見落としただけなのかもしれないが、映像では依子と明彦が不倫関係であったことに触れられていない。これって結構重要なファクターで、祐子が化けて出てくる理由(の一つ)、もしくは、依子が祐子に対して抱く後ろめたさでもあるため、映像として明確に語って欲しいと感じた。それはさておき、その場合2年間化けて出てこなかったのは何故か?祐希の行動を通して依子を苦しめていたと思うべきか。

なんにせよ、久しぶりに怪談らしい映像を観たと感じました。

【評価】

総合評価:★★★☆☆(3.0)

  • 面白さ:★★★☆☆
  • ホラー度:★★★☆☆
  • グロ度:☆☆☆☆☆
  • サイコ度:★☆☆☆☆
  • ミステリー度:☆☆☆☆☆
  • サスペンス度:★☆☆☆☆
  • アクション度:☆☆☆☆☆

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(続き)ネタばれ






【冒頭】

深夜の病院。空になったベットには「深見祐子」の名前。一転、公園の沼に入水自殺を図る中年女性の姿。手には家族3人笑顔の写真。そのまま入水してしまう。
⇒設定として「沼」なのでそのように表記するが、一見は「池」といった感じ。それにしても遠浅の沼だ。下半身くらいで「とぷん」といった感じで一気に沈む方が自然な感じがするが。

【依子と祐希】

2年後。依子は明彦の後妻として暮らす。明彦の連れ子の祐希は目の周りに赤い痣を持っている。依子はどうしても言うことを聞かない祐希に怒りを覚え始め、殴ったり煙草の火を押し付けたりするようになる。
⇒依子自身の幼少期がフラッシュバックする。依子も母親から折檻を受けていた。
⇒祐希が言うことを聞かないことに腹を立てているのではなさそう。それもあるかもしれないが、それより祐希に言うことを聞かせられない自分、それに怒りを覚える自分が依子自身の母親とダブることに対する苛立ちのはけ口として、祐希への暴力になっているようだ。
⇒祐希の虐待を契機に祐子の存在がクローズアップされてくる。

【依子懐妊】

依子は懐妊した。それを境に祐希に優しく接するようになる。祐希も依子の言うことを聞くようになり、一見平穏な風景となる。

【祐希殺害】

ある日、依子は浴室で1人で喋っている祐希を見つける。誰もいない水の張られた浴槽に向かい、「お母さん」と言って今日の出来事を話す祐希。瞬間、逆上する依子。浴槽に祐希の顔を押し付け、そのまま蓋をする。最初こそバタバタと暴れていたが、やがて静かになる。依子が蓋を外すと湯船に祐希が浮かんでいる。

【死体遺棄⇒通報】
沼。祐希の死体をトランクに詰めて車の荷台に乗せる依子。突然クラクションが鳴り、車の前に祐子の姿が現れる。
⇒初めて依子の前に姿を現す祐子。
⇒んでもなんで沼なの?家で殺しているのに??違和感は残るが物語は進んでゆく。後でなんとなく判るのだが、どうやら依子の中でリアルと虚構がごっちゃになっているようだ。

依子は車を走らせ廃ビル?に向かう。トランクに詰めた祐希の死体を捨てる依子。その背後に祐子の姿。依子は許しを乞いつつもトランクを置いて帰る。
⇒廃ビルと依子の関係は不明。

帰宅後、依子は祐希がいなくなったことを警察に通報する。

【祐希発見】

祐希の死体が発見された。警察によると祐希の死体は沼で発見されたとのこと。取り乱す依子。後日警察が明彦に詳細を説明する。祐希のお腹の中は沼の泥で一杯。外傷もないことから事故死であろうことを告げる。
⇒湯船で殺したと思っていたが、実は沼で殺していたということなんだろう。とすれば沼で祐希を詰めたトランクを車に乗せていることと辻褄が合う。

【りん月】

依子はやがてりん月を迎える。その日依子はガソリンスタンドに寄る。スタンドの店員が車の後席に女の子が乗っていたと言いだす。依子はまだ終わっていないことを悟る。車を走らせていると道路の真ん中にあのトランクが。驚いて急停車させる依子。祐希の姿がチラつく。
次の瞬間依子は廃ビルにいた。逃げようとする依子。何度扉を開けても同じ場所に戻ってしまう。やがて陣痛が始まる。瞬間沼のほとりに立つ依子。さらに廃ビルに居たと思うと家。彷徨う?依子の目の前に祐子と祐希の姿。

【出産】

依子は病院のベットで目を覚ます。道路に倒れていたとのこと。そして女の子が生まれたことを知る依子。産まれたばかりの我が子を抱く依子。その子のには祐希と同じ痣がついていた。それを見て錯乱する依子。

【ラスト】

退院して家に戻る3人。生まれた女の子には「累(ルイ)」と名付ける。食事の支度をしていると累が泣き出す。明彦と共に穏やかに累を見つめる依子。依子はキッチンに戻って包丁を手に取ると、おもむろに累に振りかざす。驚いて制止する明彦。二人がもみ合ううちに依子は明彦の腹を刺す。瀕死の夫が累の方を見ると、累の傍らに祐子と祐希の姿があった。明彦は依子がずっと見てきたモノを悟る。包丁を手に累に這い寄る依子。明彦は依子の首を絞めて殺し、自らも絶命する。
後には二人を見つめほほ笑む祐子と無表情の祐希。そして累の泣き声だけが残る。
⇒救いのないラストと取るか、死によって救済されたと取るか微妙な所だ。

【祐子の自殺動機】

祐子が自殺した理由は明らかにされない。
冒頭のカットだけ見ると、空のベットに残る髪の毛が不治の病であることを暗示しているようだ。そこから病気を苦にした自殺ともとれる。本文にも書いたが、それだと祐希を捨てて自殺した祐子が今更なんで祟るのか?が腑に落ちない。

以上です。