ザ・ライト エクソシストの真実 Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)
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制作年:2011年(米)
原題:THE RITE
原作:マット・バグリオ
制作:リチャード・ブレナー
脚本:マイケル・ペトローニ
監督:ミカエル・ハフストローム
収録時間:114分
カテゴリ:ホラー/サスペンス
【キャスト】
- アンソニー・ホプキンス
- コリン・オドナヒュー
- ルトガー・ハウアー
- アリシー・ブラガ
【総括】
『羊たちの沈黙』『ハンニバル』『レッド・ドラゴン』で、ハンニバル・レクター博士の印象が強烈に焼きついているアンソニー・ホプキンス主演の新作ホラー映画。またマイフェバであるルトガー・ハウアー(コチラの代表作は『ヒッチャー』『ブレード・ランナー』)も出演しているので、嫌でも期待値が高い。
でもって観てみると。。。
当たりでした。
まあお気に入りの俳優さんが出演していることもあるのですが、かなーり面白かった。2時間近くの映画でも飽きることは無かった。
ホラーだぜっ!というような派手な演出は無い。むしろ地味な感じでラストまで行くのだが、どんよりとした曇り空を思わせる暗い背徳感のような感じが続くのだ。流血もほぼ無し。グロ映像も控えめ。でもってまさに悪魔祓いを描いた作品。派手な映像を期待してはダメ。オーメンやエクソシストといった、精神的な暗さを期待して吉というところです。
【ストーリー】
葬儀屋の息子マイケルは、さしたる信仰心があるわけでもなく、家を出たい一心で神学校へ入学する。4年後。卒業を控えたマイケルは自らが信仰に欠けるとして司祭への道を辞退する。しかしマシュー神父からエクソシストへの道を勧められる。かくしてマイケルは二ヶ月間の講座を受けるべくローマに留学し、そこでエクソシストを営むルーカス神父と知り合うのであった。
※「続き」はネタばれです。
【感想】
全体的に大きな盛り上がりがあるわけでもない。ゆっくりとひたすらラストに向けて盛り上がってゆく感じ。信仰心も無く悪魔の存在も否定する主人公マイケル(主演はA.ホプキンスだけど)が直面する、理解できない現象。なんとか無理やり論理的に解釈しようとするが、そんな自分自身の戸惑いが表現できていて感情移入し易かった。
さて。A.ホプキンス。
強烈にインプットされたレクター博士のインテリジェンス(≒サイコでもある)が今作では感じられない。確かにエクソシストに対する知識は持っているが、叩き上げの無骨な仕事人といった感じ。しかし当初感じた違和感(レクター博士とのギャップ)もすぐに解消される。ここら辺はさすがというか。
次にルトガー・ハウアー。
老けたなぁ。ただ口をすぼめる仕草は若いころのままだ。うーん。カッコイイ。そして少し安心してしまう。ジョン・ライダー(ヒッチャー)やロイ・バディ(ブレードランナー)のような目に見える異常性こそ無いものの、暗い何かを抱えているような演技は地味ながらもハマっている。
個人的にはこの二人が出ているというだけで満足なんですけどね。
そういえばアンジェリーナ役のアリシー・ブラガ。「ハンニバル」のクラリス(ジョディー・フォスター)と面影が似ているような気がするのは気のせいかな。
【評価】
総合評価:★★★★☆(4.5)
- 面白さ:★★★★★
- ホラー度:★★★★☆
- グロ度:★★☆☆☆
- サイコ度:★☆☆☆☆
- ミステリー度:☆☆☆☆☆
- サスペンス度:★★★☆☆
- アクション度:☆☆☆☆☆
どうしても贔屓目の評価になってしまうのはご容赦を。あとグロ度に関しては「痛い」のと「虫」がちょっとだけ出ているので★+1としました。そんなにグロくないです。
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(続き)ネタばれ
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【最初のショッキングシーン】
雨降る夜。司祭への道を断るマイケルを、道路を挟んでマシュー神父が呼びとめる。マシュー神父は傘もささず道路に飛び出す。飛び出した神父を避けようとして自転車が大きく道路よれる。そこへバンが走ってきて自転車を跳ね飛ばし、自転車に乗っていた少女(?)は死んでしまう。
悪魔的な要素は無いのだが、導入部のドッキリといった感じ。何しろ映像のテンポが良い。変に視聴者が考える隙を与えないというか。また、ストーリー的にこの事故がマイケルをローマに行かせるトリガになったのではないか。
【マイケルとルーカス神父】
ローマでエクソシストの講座を受けるマーカスは講義に対しても懐疑的な言動をする。そんなマイケルに講師のザビエル神父が現役エクソシストとしてルーカス神父を紹介する。訪れたルーカス神父の屋敷はさびれた感じの家で、多くの野良猫がうろついている。
【サブキャラ】
アンジェリーナ。マイケルとエクソシストの講義で知り合う女性。実はジャーナリスト。エクソシストの現実を記事にしたいと考えている。
マイケルの父親。実の親子であるがマイケルとの折り合いは上手くいっていないようだ(事実マイケルは家を出るために新学校へ入学している)。どうやら死んだ母親が影響している模様。またマイケルの信仰の欠如の原因でもあるようだ。途中脳卒中で死亡。
【エクソシスト#1】
最初の患者(?)。父親にレイプされ妊娠してしまう16歳の少女ロザリア。悪魔に取り憑かれたとして叔母と共にルーカス神父の元へやってくる。儀式の始めにルーカス神父はマイケルを祝福するのだが、その所作がおざなり。ルーカス神父にとってエクソシストが日常的な仕事(手順化された作業)であることを表現したのだろう。観ていて思わず苦笑。
エクソシストにより血と共に鉄の釘(五寸釘くらい)を吐き出すロザリア。やがて症状が悪化したロザリアは入院させられる。神父に浴びせる罵詈雑言は激しいが、超常現象的な表現(中に浮いたり首が回ったり)は無い。ルーカス神父の力及ばずロザリアとお腹の子供は死んでしまう。悪魔の勝利というわけだ。
ロザリアの悪魔憑き演技はオーソドックスながら魅入ってしまう。
【エクソシスト#2】
二人目はヴィンチェンツォという名の少年。夢で赤い眼をしたラバに噛まれたという。その身体には痛々しい歯型が付いていた。訪れたルーカス神父(とマイケル)は、少年の枕の中から「悪魔だ」といってカエルを取りだす。しかしマイケルはカエルがルーカス神父が持ち込んだものだと判ってしまう。ルーカスの家の庭にあるイケス(?)には沢山のカエルがいた。つまりイカサマだと。ただし少年はマイケルの父親の死を予言していた。この少年は死なない。マイケルに悪魔の存在(逆に言うと神の存在でもある)を認識させる役どころか。
【エクソシスト#3】
ロザリアを殺した悪魔はルーカス神父に取り憑く。ルーカス神父も悪魔につけ入れられる隙のある一人の弱い人間という事だろう。
最大の山場。ルーカス神父に対して悪魔祓いを行うマイケル。悪魔はマイケルの弱い所を的確に突いてくる。追い詰められたマイケルは悪魔の存在を肯定してしまう。と同時に神の存在も肯定することになり、一気呵成に悪魔を追い詰め、その名を吐かせることに成功する。
【悪魔の正体】
バール。画像はwikiから引用。コラン・ド・プランシー著『地獄の辞典』第6版の挿絵におけるバエルの姿。
たしかに演出として「猫」と「カエル」の露出が多い。ただ赤い目のラバが出てくるが、コチラの役どころは不明。デーモンの総称として用いられたのだろうか?
なお、エクソシストの使命は悪魔の名前と数の解明だそうだ。悪魔の名前が判れば支配できる、即ち「消えされ!」と命令できる。
【ラスト】
アメリカに戻ったマイケルは司祭の道を選ぶ。それはエクソシストの道でもある。マイケルはアメリカで、ルーカス神父もまた現役として活躍しているとのテロップが流れて終了。
以上です。