20110303_nightrage

制作年:2010年(米)
原題:THE KILLING JAR
収録時間:91分

監督、脚本:マーク・ヤング

カテゴリ:バイオレンス/サスペンス

前回(セルラー)に続き、ホラーではありません。
すみません。

タイトル「ナイトレイジ」に釣られて観ました。
なんとなく面白いんじゃないかと...

レンタルサイトの説明文。
>暴力が嵐のように巻き起こるバイオレンスアクション。一家4人惨殺犯逃亡のニュースをラジオが伝える中、寂れたダイナーに現れた謎の男・ドゥは、居合わせた警官を射殺し、ウェイトレスと客を人質に取る。彼が惨殺事件の逃亡犯かと思われたが…。

【キャスト】

  • マイケル・マドセン
  • アンバー・ベンソン
  • ハロルド・ペリノー
  • ダニー・トレホ

【総括】

結論からいうと、まずまず面白かったです。
全体的に暗ーいイメージを纏わりつかせて物語は進みます。
「暴力が嵐のように(ry」とありますが、そんなに多くはありません。
ただ「その場に居たがために巻き込まれる」という理不尽感はあります。バイオレンスシーンでは、散弾銃、拳銃での銃殺、警棒による顔面殴打といったところ。撲殺はありませんでした。また観ていて「痛い」と感じるシーンはあまり有りませんでした。

 

【ストーリー】

場所は町外れにある小さなレストラン(ドライブインか)。
季節は夏。時間は夜。天気は本降りの雨。
安っぽいネオンが「場末のレストラン」という雰囲気を出しています。

常連客(保安官と運転手)に加え、駆け落ち途中の若いカップル。店長兼コックとウェイトレスの5人。
変わり映えのない面子。退屈な仕事。うだるような暑さ。
ウェイトレスのノーリーンは現状に不満を持っており、クーラーを使わない店長に悪態をついています。

ドアが開き新しい客が来ます。黒人のセールスマン。目新しい面子にノーリーンが興味を持ちます。客は気さくにノーリーンと会話し、二人は打ち解けます。

そんな中、ラジオがニュースを流します。
近くで一家惨殺事件があり、犯人は逃走中とのこと。
常連たちは一様に不安がります。

続いてドアが開き、新しい客が...
その男:ドゥはどこか苛立っており、注文を受けるノーリーンに対してもぶっきらぼうに答えます。そんな無愛想なドゥにノーリーンは犯人ではいないのかと疑惑を抱き、常連の保安官に職務質問するように頼みます。最初は嫌がっていた保安官ですが、話していくうちにドゥの横柄な態度にキレれてしまいます。結局、犯人とは異なる車であることが判明し、ドゥに謝罪するのですが出て行ってしまいます。

しかし...

再びドアを開けて戻ってきたドゥは、振り向いた保安官の頭部をショットガンで吹き飛ばします。続けざまに店長兼コックも射殺

ノーリーン他4名を人質にとり、レストランに立てこもります。
とはいっても、何を要求するではありません。
ドゥは人質の持ちモノを没収し、一人ずつ尋問しだします。

いったいドゥの目的は何なのか?
やっぱり一家惨殺の犯人なのか?
場末のレストランで一方的な殺戮が始まります。

 

【所感】

まずもってドゥの正体が判りません。
何も要求しないので、彼が何を欲しているのか判りません。
そんな犯人に囚われた恐怖はありますが、雰囲気としてあまり伝わってきませんでした。

主人公(?):ドゥ(マイケル・マドセン)の異常ぶりもチョット消化不良気味。サイコなのか目的をもった行動なのか、判りにくかったところも中途半端に感じたところです。
個人的にはぶっ飛んだサイコ野郎を期待したいところですが。

面白いのは人質となった面子の「素顔」が剥がされて行く過程ですね。ドゥの尋問(当然拷問)により、普段とは違う裏の顔が見えてきます。ただ犠牲者が少ないのでテンポは遅いです。その遅さが逆にリアルにも感じるのですが、不謹慎な感想ですが観ている側としてはもう少し派手にやって欲しいところでしょうか。

ラストもほぼ予想通り。
特段変わったことも無く、一人を残して全員死亡なんですが、多少気持ちの良い終わり方です。

話は変わりますが、アメリカの銃の取り扱いに対しては、やっぱり疑問ですね。銃が氾濫しているから、防衛として銃を所持しなければならず、その銃が使われて、また銃が必要になる....
まさに負のスパイラルですね。

 

【評価】☆☆

「異常者」を「異常者」として観ることが出来ませんでした。
消化不良感の残る終わり方なのですが、ラストのノーリーンに免じて★3つとします。
好みの問題でしょうが、ドゥ役をレイ・リオッタあたりにやらせてみたいと感じました。

 

続きはネタばれです。

 

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(続き)ネタばれ注意

 

【保安官と店長⇒死亡】

本文にも書きましたが、問答無用で射殺です。
保安官は頭を吹き飛ばされてます。
頭部の無くなった死体は、残りの常連客に片づけさせました。
その一瞬頭部が無くなった死体が写ります。
至近距離でのショットガン。こういう死にざまは晒したくないものですね。

【グリーン参上⇒死亡】

一家惨殺犯人の手掛かりとなる人物であり、ドゥが犯人をあぶり出そうとした切っ掛けとなります。

結局一家惨殺は土地がらみの利権に根付いたものでした。
グリーンは惨殺された一家の土地がどうしても必要でした。しかし立ち退かない一家に、「スミス」という請負人を依頼します。「スミス」が一家(夫婦+子供二人)を殺すことで相続人が不在となり、グリーンのビジネスが進みやすくなるのでした。
そのグリーンがスミスに報酬を渡す場所として指定されたのが件のレストランだったのです。
スミスの顔を知らないグリーンは、ドゥがスミスだと勘違いし報酬を渡しますが、当のドゥはスミスが客の中にいると確信して尋問を始めるのでした。

ということで最初の拷問はグリーンさんです。
椅子に座らされ、後ろ手に手錠をかけられ、麻袋で顔を覆われドゥに警棒で顔面を殴打され、洗いざらい吐かされます。

全てを吐かせると、ドゥは拳銃で麻袋を被ったグリーンの頭部を撃ちぬきます(1発目)。

結局、ドゥに監禁の目的を与えてしまっただけですね。
グリーンが来なかったらどうなっていたのか興味があります。
しかし、ドゥがこの店を訪れたこと、ノーリーンに不審に思われたこと、グリーンがスミスとの取引にこの店を指定したこと、これらの偶然が重なって物語が始まったと思うと少しゾッとしますね。
なんというか、どこにでも最悪の不幸は落ちているというか...

【常連の素顔⇒死亡】

次は常連の運転手さん(名前忘れた)です。

ドゥはスミスを探し始めます。
手始めは運転手さん。ここでドゥが軍隊上がりであることが分かります。またこの常連も軍隊上がりのようで、ドゥとの会話の端々に「サー」を付けています。

この常連に対してドゥは妻を愛しているかと問います。
当然「愛している」と常連。
しかし彼の持ちモノからコンドームを見つけたドゥは、拳銃で彼の左足を撃ちぬく(2発目)と彼の素顔を暴きだします。
それは彼が同性愛者であり、妻に隠れて行為をしていることです。

全てを吐かせると、ドゥは拳銃で常連の腹部を撃ちぬき(3発目)殺します。

【セールスマンの正体⇒カップル死亡】

次はたまたま立ち寄ったセールスマン。後ろ手に手錠をかけられ椅子に座らされます。

そして彼こそが一家を惨殺した「スミス」でした。

ノーリーンに一言謝ると、「スミス」は開き直りました。
ここでドゥの正体も少し明かされます。ドゥは退役した後、政府の裏の仕事を請け負っていたようです。その仕事と今回の一家惨殺が関連しているのかは読み取れませんでした。

「スミス」はプロです。
バックには曰く「ファミリー」が付いていると。
ドゥに対して、どの選択肢を選んでも助からないと告げます。
自分を殺してもファミリーが着実にドゥを殺すと。
ドゥの山分け(グリーンの持ち込んだ報酬)提案も一蹴します。仕事に見合った対価をもらっていると。報酬が半分になることは、幸せも半分になると。なかなか考えさせられるセリフですね。仕事に見合った報酬=幸せと。
その上で「殺して構わない」とドゥを突放すます。

苛立ちまぎれにドゥはカップルを拳銃で射殺(4発目、5発目、6発目)します。

カップルは何のためにいたのか?
なんか雑魚キャラが殺されるような扱いですね。
ちょっと演出における彼らの立場が良く判りませんでした。
いっそ彼らが持っていたビデオレコーダー。これでPOV形式にしてみた方が緊迫感や悲壮感が伝わってきたかもしれませんね。

【ドゥ死亡フラグ】

結局カップルを射殺し、自暴自棄状態のドゥ。スミスを射殺しようと銃口を向けます。

とっさにノーリーンがドゥの肩口にナイフを突き立てます。
ドゥの銃口は天井を向き発砲(7発目)。
振り返るドゥにナイフを横なぎに振るうノーリーン。ナイフはドゥの喉を切り裂き、哀れ死亡とあいなります。

【最後に立っているのは】

さて店の中の生存者は二人となりました。
後ろ手に手錠をかけられたスミス。
ドゥの返り血を浴びたノーリーン。

スミスはノーリーンに手錠を外すように頼みます。

手錠の鍵は見つかりました。
しかしノーリーンの答えは「No」です。

スミスは一家惨殺の犯人。そしてプロです。
スミスを助けてもノーリーンが助かる可能性は皆無。
それくらいはノーリーンでも判ります。

震える手で銃口をスミスに向けるノーリーン。
スミスは「君には撃てない」「たった今一人殺しておいてさらにもう一人殺す度胸はない」と諭すように告げながら近づいてくるスミス。そして「その銃には弾が残っていない」「君は何発撃ったか判らないだろう」と。

ノーリーンはスミスに言います。
確かに私はただのウェイトレスだ
変化を恐れて何もできない
この先も幸せにはなれないだろう

「だけど」
何発撃ったかは判る

ドゥの発砲を順に挙げるノーリーン。
答えは「7発」。
震えの止まった手で拳銃を握ると、銃口をスミスの頭部に向けて発砲。確かに弾は残っており、スミスは射殺されました。
一人残ったノーリーンは、グリーンの持ってきた報酬の入ったスーツケースを持つと、しっかりとした足取りで店を後にします。

ラストのノーリーンは何を意味しているのでしょう?
不幸はどこにでも落ちている。しかし幸せも同じくらい落ちているということでしょうか?
結局お店にいた人たちは、ドゥの暇つぶし、もしくは、憂さ晴らしに付き合わされて殺されるといった内容でした。

 

以上です。