ヒッチャーです。
制作:1986年
カテゴリ:サイコ・サスペンス
レンタル・視聴したのは「ヒッチャー(PALマスター版)」です。
一応B級なのでしょう。
僕の★★★★★作品の内の一つです。
理由はルトガー・ハウアーが大好きだからです
元々は「ハンニバル」の監督、リドリー・スコット作品「ブレード・ランナー(1982年公開)」にて彼を知りました。
ハリソン・フォードの敵役として、レプリカントの親分「ロイ・バディ」を演じています。
当時その存在感に戦慄(鳥肌)を覚え、以降繰り返し観る作品となりました。
完全に主役を喰ってしまっています。
ブレード・ランナーもレビューしたいところですが、好きすぎて長文になるのが目に見えています。
なので、レビューは何時になるかわかりません(笑)
「ブレード・ランナー」をまだ観ていない方は、是非お勧めしたい映画です。
カテゴリはホラーではなくSFなんですけどね。
ということで、どうしても贔屓目に偏ったレビューになると思います。
その点ご容赦くださいな。
ヒッチャーに戻ります。
【キャスト】
- ジョン・ライダー(ルトガー・ハウアー)
- ジム・ハルジー(C・トーマス・ハウエル)
- ナッシュ(ジェニファー・ジェイソン・リー)
物語は、車の配送会社に勤めているジムの視点で進みます。
ジムはシカゴからサンディエゴまで、お客に納車する車を走らせています。
時刻は深夜。
単調な一本道。
変化のない砂漠地帯の景色。
のんびり走る彼の車(お客様の車です)を、勢いよく追い越して行く空色のビートル。
ジムは苦笑いで見送ります。
単調な道は続きます。
と、ついウトウトしてしまい、
危うくタンクローリーに激突するところでした。
時刻は明け方の4時ごろ。
しばらくすると雲行きが怪しくなり、雨模様となります。
激しくフロントガラスをたたく雨。
豪雨のなかに一人の人影を見つけます。
雨の中、道路わきで親指を立ててます。
ヒッチ・ハイカー(ヒッチャー)です。
ジムは車を路肩に寄せ、びしょぬれのハイカーを車に迎えます。
退屈で一人で運転していることがしんどかったジムは、一緒にいてくれる相棒が欲しかったのです。
ジムは陽気に語りかけますが、乗ってきた男は会話に乗ってきません。
男の名は「ジョン・ライダー」。
取って付けたような名前です。
会話がすれ違ってばかりの男。
次第に不審に思い始めるジム。
豪雨となった車外をジョンを載せながら走らせていると、先ほど追い越して行った空色ビートルが路肩に停められているのを発見します。
いぶかしむジムに気付いたジョンは、いきなりジムの右足を押し下げます。
自然アクセルを踏み込むことになり、ビートルを横目にやり過ごします。
「なんだコイツ」「ヤバイやつを乗せちまった」「よし、降りてもらおう」
ジムの表情から伺えます。
ジムは車を止めると、雨の中ジョンを車から降りるように促します。
ジョンは一度はドアを開けて煙草を捨てると、再び閉めてジムにナイフを突き付けます。
凍りつくジム。
ジョンはナイフを突き付けたまま車を走らせるように命令します。
ナイフを突き付けたまま、ジムに「死にたい」と言わせようとするジョン。
まるで拾った玩具を壊すのが楽しいといった表情です。
一瞬の隙をついてジョンを車から振り落としたジムは車内で狂喜します。
後ろに離れていくジョンに「ざまぁみろ」と言いながら....
残念ながらこれで終わりません。
恐怖と悲劇の始まりです。
再びジムの前にジョンが現れます。
ジョンは着きつ離れつジョンの前に姿を現します。
ジムの行動を先回りするかのように動き、後手になると周りの人を殺します。
そしてジムを孤立させてゆきます。
ジョンの行為に合理的な理由が見つけられません。
理由の判らないことの恐怖。
ジムの行きつく先はどんなエンディングなのか?
物語は中弛みすることなく最後まで魅せてくれます。
当作品はスピルバーグ監督の「激突」と比較されているのをよく見受けます。
超法規的な得体の知れない「何か」に「必然性が無く」追われるストーリーをみると背景は同じといえますね。
僕は両方見ていますが、「激突」にはない「狂人の不気味さ」がリアルに感じました。
- 激突は無機物の不気味さ
- ヒッチャーは狂人の不気味さ
といったところでしょうか。
主演のルトガー・ハウアーが見事に狂人を演じています。
セリフ、表情、アイテムの使い方、どれを取っても怖いです。
「狂人」というより、言葉・文化・生態系等々、全てが異なり、全く意思疎通ができない「異人=宇宙人」といったほうが適切かと。
残念なことに「良い作品」に恵まれていないようで、有名どころは当「ヒッチャー」と「ブレード・ランナー」くらいでしょうかねぇ?
「ウォンテッド」も結構好きです。
「ブラインド・フューリー」はちょっといただけませんでつがw
総合評価は冒頭の通り★★★★★
- 面白さ:
★★★★★ - ホラー度:
★☆☆☆☆ - グロ度:
★★★☆☆ - サイコ度:
★★★★★ - ミステリー度:
★★☆☆☆ - サスペンス度:
★★★★★ - アクション度:
★★★☆☆
いつも通り続きはネタばれになります。
(続き)ネタばれ
↓
↓
↓
↓
↓
【ジョン・ライダー】
本名・国籍一切不明。
ブレード・ランナーを観ている僕には「宇宙人」にしか見えません。
思考回路が全く見えてこないのです。
【留置場にて】
逃げ込んだ保安官にジョンと間違われて留置場へほうり込まれたジム。
「なぜか自分でもわからないけど安心できる場所」といった感じです。
留置場内でやっと眠りにつくが、見る夢は昨夜のジョンとの出会い。
うなされつつも銃声のようなもので飛び起きます。
牢屋のカギはいつの間にか開いています。
ゆっくりと事務所へ向かう途中で一匹の犬(シェパード)。
ジムを一目見て去る犬。
ジムが犬の方を見ると、死んだ保安官をシェパードが貪り食ってます。
嘔吐と共に、周りの惨劇を目の当たりにして逃げ出すジム。
3人の保安官は殺されていました。
ジョンが保安官を殺してジムを救ったということですね。
第三者が見るとジムが保安官を殺して脱獄したように見えます。
理由は「せっかく手に入れた玩具を取り上げさせない」といったところでしょうか。
【ポテト?】
街道沿いに孤立しているレストランに辿りつき、なんとか警察に連絡できたジム。レストランのウェイトレス、ナッシュはジムに気を使ってハンバーガーを振舞います。
ほっとしつつも思考停止状態で機械的にハンバーガーに添えてあるポテトを口に運ぶジム。
と。ジムのつまんだポテトが「人の指」
仰天し、飛び出すジム
「安心できる場所などないぞ」とジョンの無言のメッセージですね。
【ナッシュ】
ジョンに捕まってしまったナッシュ。
ナッシュはジョンの運転するトレーラーとカーゴを連結するように縛られます。
手をカーゴに。足をトレーラーに。
エンジンを吹かすジョン。
警察も手出しできません。
ジョンを射殺すると、ジョンの足が抜いているクラッチが繋がり、ナッシュは真っ二つだからです。
ジョンの要求はジム。
恐る恐るトレーラーの助手席に乗るジムに向かい拳銃を渡します。
銃口を自らの額に押し付け「殺せ」と。
その間もエンジンを吹かすジョン。
ジムは......
引き金を引くことができません
「おまえにはがっかりだ」「ヘタレが」
とばかりに、ジョンはクラッチを繋ぎ、哀れナッシュはデッドエンドです。
グロシーンはありません。
ジョンの異常性だけで十分です。
【結末】
ジョンは腹を据えたジムの手により射殺されます。
そのシーンも対等な立場で殺しあうことを望んでいるように振舞います。
- 追ってきたジムの車に向かって、護送車からショットガンを片手にダイビングするジョン
- 走行中の車内でもみ合う二人
- 急ブレーキでジョンを前方に放り出すジム
- 満身創痍で立ち上がり、ジムの車にショットガンをぶち込みながらゆっくりと近づくジョン
- ショットガンを避けながら必死にイグニッションキーを廻すジム
- やっとエンジンがかかり、目の前まで来たジョンを急発進で跳ね飛ばすジム
- 動かないジョンに、車を降りショットガンを拾って近づくジム
- 数回付いても動かないジョンに背を向けて帰ろうとするジム
- ジムの背後でよろよろと立ちあがるジョン
- ジムは振り向きざまにショットガンを連発し、、、
ついにヒッチャーは生き絶えます。
まるで死を怖がっていません。
というよりジムにこそ「殺してほしい」といった意思のようなものを感じさせます。
なぜそこまでジムに拘るのか??
ラストまで理由は出てきません。
あえてゆうなら「運命」しか適切な言葉が浮かびません。
というハッピーエンドです。
以上です。
貼られている作品は「ショーン・ビン」のリメイク版の方です。
写ってんのショーン・ビンだし...。
余計なことかとも思いましたが、好きな作品なので。
もちろん、オリジナルの方ですが。