identity

カテゴリ:サイコスリラー、サスペンス、ミステリー

制作:2003年(米)
監督:ジェームズ・マンゴールド
原題:Identity

 

 


既出の記事「1408号室」にも書きましたが、僕はこの映画でジョン・キューザックを知りました。
個人的に好きな俳優さんで、ホラー系イメージのある俳優さんです。
先入観ですね

今回レビューにあたり、通算4回目となる視聴をしました。

全く関係ないですが、「シャーロック・ホームズ」は7回位観ました。
同じように何回も繰り返し観たくなる映画です。

 

閑話休題。

 

豪雨により陸上で孤立したモーテル。
電話も豪雨により使えない。
そんな中で一人また一人と殺されてゆく。
閉鎖空間での連続殺人とありがちなテーマではあるのだが、いくつかの外的要素を加えて視聴者を飽きさせない展開です。

冒頭は細分されたカットが続き、登場人物や背景設定が判りにくい。

ただこれも意図的な表現と思われ、物語が進むにつれ接点が一つ、また一つと繋がってゆき、視聴者は納得感を得ながら引きこまれてゆく。
まるでパズルのピースがピタリと合致してゆき、最後のピースで全体像が判明するようで非常に面白い。

 

さて、ストーリーはというと。

冒頭室内でテープレコーダーを繰り返し聴きながらメモする人物。
テープにはマルコム・リバースとの文字が。
テープに合わせて、カットシーンがフラッシュバックする。
外は土砂降りを思わせる雷と雨音。
ん?「法廷映画か?」と思わせるような切り出し。

さて。そんな豪雨のなか、モーテルに一人の男が「妻が跳ねられた」と飛び込んでくる。
すぐに場面が変わり、次々と登場人物がモーテルに集まる理由がカットインされてくる。

バックの豪雨が雰囲気を醸し出していい感じ。

やがて唯一のモーテルに集まる10人の男女。
その10人が集まる理由も無理を感じさせない。

女優:カロライン(レベッカ・デモーネイ)
元刑事の運転手:エド(ジョン・キューザック)
売春婦(?):パリス(アマンダ・ピート)
警官:ロード(レイ・リオッタ)
連続殺人犯:ロバート・メイン(ジェイク・ビジー)
旅行中(?)の一家
 ・夫:ジョージ・ヨーク(ジョン・C・マッギンレー)
 ・妻:アリス・ヨーク(レイラ・ケンズル)※瀕死
 ・子:ティミー・ヨーク(ブレット・ローア)
ワケありな新婚夫婦
 ・新郎:ルー(ウィリアム・リー・スロット)
 ・新婦:ジニー(クレア・デュヴァル)
モーテルの管理人:ライリー(ジョン・ホークス)

それぞれがそれぞれの"うしろめたさ"のような雰囲気があり、疑心暗鬼になっている様が感じられる。

やがて最初の犠牲者が。
死体の一部と一緒に「10号室」のキー。

一人、また一人と死んでゆく。
「9」「8」と、殺された人物からは、カウントダウンを思わせる部屋の番号キーが。

そして生き残っている人物たちは、10+1人の奇妙な共通点に気がつく。

そう。
彼らはたまたま豪雨から避難して一緒にいるのではなく、仕組まれて一緒にいるのだった。

唯一"理性的"なエド。

彼は「何者であるか」「集められた理由」そして「使命」を知ることになる。

誰が何のために仕組んだのか?

エドはどうなるのか?

誰が生き残るのか?

そして生き残った人物はどうなるのか??

冒頭のシーン。
マルコム・リバースとは???

最後の最後に笑うのは????

最後まで油断をしないで楽しんでください。

僕の自己中ランク:★★★★☆
です。

次回は最近観た「棲む女」でもと考えてます。

例によって続きはネタばれです。

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(続き)

ネタばれ注意。

 

 

 

 

 

設定はダニエル・キイスの「24人のビリー・ミリガン」(1981年)を彷彿される。
ただアイテムの使い方が非常に上手。
最後のどんでん返しに効果的に活用されていて、謎が解けたスッキリ感を持って観終わることができた。

まぁバッドエンドなんですがw

 

【車に轢かれる】

最初のショッキングなシーン。
豪雨の中車がパンクしてしまったヨーク一家。
原因は路上に落ちていたヒール(パレスが落としている)
パンクを修理するの夫に付きそう妻。
退屈な子供は車の窓をノックして母を呼ぶ。
雨の中車内の子供のマネをしてあげる母。
ほほ笑む子供。
どことなく和むシーン。
車内の子供が後ずさる。
車外の母も後ずさる。

と、そこに突然エドが運転する車が走ってきて、横からまともに母を跳ね飛ばす。

油断させるような前段。完全に足元を掬われた感じだ。
つかみはバッチリだ。

 

【部屋のカギ】

まさにカウントダウン。
「1408号室」みたいwww
しかしどのようにして犠牲者に鍵を持たせたのか、全く判らない。
初見では、「先住民族の墓のたたり」という方向になるのかと思った。

パニックに陥る生存者。もはや誰が犯人か想像できない。

劇中に出てくる部屋のカギは「6号室」までだったと記憶する。
あとはパニックの中で忘れられてしまう。

効果的なアイテムであるが、単にこの場面での物語を盛り上げるだけの小道具だと思った。

これがラストに活きてくる。

 

【11人の共通点】

なかなか凝っている。
11人の誕生日が同一。
そしてエドが姓がアメリカの州名にちなんでいることに気づく。

普通ありえない。
この点で現実としておかしいと感じてくる。
映画としてのではなく、設定としてのリアリティが疑われ始め、エドは自身の存在を知ることとなる。
すなわちエドはマルコムの作りだした人格の一つでしかないということ。

同一の「誕生日」なこと、姓が「州名」にちなんでいることの謎が解ける瞬間だ。

 

【エドの葛藤】

「誕生日」「姓」の謎に呆然となるエド。
やがて眩暈と共にモーテルの一室から、突然判事の前に車いすに縛られている自分に気づくエド。
何がなんだかわけわからん状態。
名を呼ばれ、おもむろにマルコムの写真を見せられるが、全く見覚えが無い。

静かに医師がエドの存在を説明する。

半狂乱で否定するエド。

しかし医師の手渡した鏡に映った顔は、馴染んだ自分の顔ではなく写真の男の顔だ。

医師はマルコムを凶悪殺人に導いた人格を抹消しないと、翌日にはマルコムが死刑となることを告げる。

理論的とは付けながらも、複数の人格を一つにすることで治ると語っている。実際の治療法として適切なのかは素人なので不明であるが、素人であるがゆえに納得感がある。

ただこんなに理性的でいられるだろうか?
重箱の隅をつつくようだが、もし自分が生きてきたと思っている歴史を否定されたらと思うと、もう一つヒネリがあっても良かったのでは?
映画という決められた時間がある物語がゆえの不自然感だろう。
実際、観終わったあとは「ささいなこと」である。

 

【1号室のカギ】

最後の生存者であり、最後の犠牲者でもあるパリス。

豪雨のモーテルを車で後にし、一転爽快な快晴の下、オレンジの木々(?)の間を車で走るパリス。
念願のオレンジ畑を所有し、庭のオレンジの木の元を掘っていると固いものに当たる。

「1号室のカギ」

呆然となるパリスに影が。
振り返るとマルコムを連続殺人犯にした人格である.....が。

ラストの大どんでん返し。

 

【マルコム・リバース】

死刑囚、多重人格障害。
連続殺人で死刑が確定し、まさに失効前夜に弁護側が裁定を覆そうとする。
母親は売春婦で幼くして捨てられる。これがトラウマとなり多重人格障害を発症する。

 

生粋のホラーではないですが、大変面白くお勧めの映画です。